講演会②

昨日の続きです。壬生さんの講演会のこと。

昨日書いた他にも印象的だったことがあります。

岡谷工業高校に赴任して、はじめて全国の舞台へ行ったときのこと。

放送で「おかたに工業高校の監督さん本部にお越しください」という放送がかかった。

聞こえてはいたが、自分のことだとは思わず(岡山かどっかの学校だろうと思っていたらしい)

そのままそこにいたら、本部の人間がやってきて

「今、放送流したんですが・・・本部へきていただけますか?」と言うので

「私は岡谷(おかや)工業の監督ですが?」と言うと

「・・・どうせ一回戦で負けて帰るんだからおかやでもおかたにでも同じですよ」と

なんとまあ、失礼なことを言われたらしい。

「ものすごく悔しくてね。俺が本気で強くなろうと決めたのは

あの時かもしれない。ちきしょう、今に見ていろ!ぜったい日本一になってやる!!」ってね。


それから、同じころ、東京の強いチームと練習試合を組むことが出来た。

当時は鈍行で夜の11時くらいに岡谷を出て朝8時くらいにその学校へと着いた。

本当に遠征試合である。

ところが、着いて見るとレギュラーメンバーがいない。

マネージャーが「おたくとの試合が決まった後、もっと強いチームとの

練習試合が決まったのでレギュラー陣はそっちへ行きました。

でも新入生チームがいますから試合は出来ますので」と言ったらしい。

壬生さんはチームの子たちにどうするかと聞いた。

すると「監督、帰りましょう。僕たちは確かに弱いかもしれない。

ここのレギュラーには勝てないかもしれない。

それでも僕たちはここのレギュラーと戦うためにやって来たんです。

新入生チームと戦う気はありません」と言った。

そのまま帰りの電車の中で「弱いというのはこういうことですか」と

全員くやし涙が止まらなかったそうです。

駅弁の味はしょっぱいだけだったと子供たちは言ったそうです。

その時、みんなで強くなろうと誓った。

その誓い通りに強くなり、今度はあちこちから練習試合の申し込みが

たくさん来るようになった。

その中にあの東京の学校があった。

壬生さんは「うちはどんなチームでも喜んで試合をさせていただきます。

だけど、お宅とだけは絶対にやりません」と言って

いまだに付き合いはないらしい。

「これは意地だね。一線交えればお互い勉強になることは

わかってる。それでも絶対にやる気はない」

それから何年もたって岡谷工業高校は何度も優勝経験のある学校になりました。

はっきりいって相手にならない学校と試合をすることもあります。

「うちはどんなに弱いチームでも、レギュラーを使えば15対0になっちゃう相手でも

それでも1セットは絶対にレギュラーを使う。

相手は彼らとやりたくて来てる。それをわかっているから。

レギュラーの子がね、『俺ら出なくてもいいんじゃない?』って言ったことが

あるんだ。その時にね『お前らの先輩は・・・』って話をしてやる。

あのとき涙を流した先輩たちが

いたから今のおまえらがあるんだよってね。

そうすると、どんな相手でも一生懸命試合をする。」



壬生さんは昨日も書いたようにある責任をとって

岡谷工業を去りました。

「あのときね、本当に人間の冷たさっていうかいやらしさを知ったな。

今まで、ちやほやして『先生は長野の宝だ』なんて言ってたマスコミが

そろって攻撃してくる。仲間だと思っていた連中が去っていく。

新聞に書かれていることは真相とは違うのに、全く聞く耳をもってくれない。

長野の宝が一夜明けたら暴力教師になっていた・・・。

でもね、その時救ってくれたのも人間だった。

『頑張れよ、あんたがやってきたことは間違ってなんかいない』

『あんたを慕ってくる子たちが大勢いる。負けるな』って言ってくれて・・・」

創造学園付属高校へ行ってバレー部を作ったとき

(あの連中を見返してやろう、もう一度強いチームを作って

頂点に立ち、俺は間違っていなかったと証明しよう)と

思ったそうです。

6年かかったけど、チームは見事全国の舞台を踏み3位という成績を

収めました。

「そしたら、あのころ去っていた奴らが『俺はずっと心配してたんだ』とか

『あんたならまたやってくれると思った』とか言ってきた。

口では『おかげ様で』って言ってるけど、内心ふざけるな、だよな」


お話を聞きながら思ったこと。

人は辛い時、苦しい時、心底悔しい思いをした時大きくなる。

悔しさをバネに・・・というがバネが強く押されて縮めば縮むほど

跳ね返して飛びあがる力は強くなる。

だから、どんな時でも強く希望を持ち続けることが大切だということ。

それから。

やはり人には誠意を持って接することが大事だということ。

軽い気持ちで口を出る言葉でも

ひどく相手を傷つけてしまう時がある。

そしてそれは、ちょっとした想像力や注意力を持っていれば防げることも多いはず。

言った方は簡単に忘れても

言われた方はずっと忘れない。



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コメント

yuyuhaya #iRTvXO9Q

監督もすばらしいけれど、生徒達もすばらしいですね。
ちゃんと誇りをもっているというか・・・
だからこそ悔しさがバネになって強くなっていったんでしょう。
人は成功したり上に行くと初心を忘れがちだけど、監督さんは忘れずに弱いチームとの練習試合でも誠意を尽くす。これは見習わなければいけないですね。

苦しい時に人の本当の姿がわかりますね。
去っていく人もいれば手を差し伸べてくれる人もいる。
今回のお話も心にしみました。
と、同時に戒めも。

2010年11月20日(土) 21時31分 | URL | 編集

ピオーネ親父 #-

相手が どんなに弱い相手でも 全力で 相手する。
これは 礼儀ですよね。
苦しい時こそ 近づいて行きたいと 
日頃から 思っています。
なかなか なんの力にも なれないんですけどね。
今日も 心に効く いい話 ありがとうございました。

2010年11月20日(土) 22時14分 | URL | 編集

関西人ママ #-

感動のお話ありがとうございました

ほんと いいお話ですね
いろんなこと 超越してこられたからこそ
今が あるのでしょうね

人って 残酷な時もありますが 
人と人のつながりがあるからこそ優しくなったり 
強くなったりできるのですね




2010年11月21日(日) 08時52分 | URL | 編集

mimi #-

言った方は簡単に忘れても
言われた方はずっと忘れない。
本当にその通りなのよね~~~
気をつけねばね・・。
悔しさをバネに・・・というがバネが強く押されて縮めば縮むほど

跳ね返して飛びあがる力は強くなる。
・・これは・・その子にもよるわね・・

跳ね返して飛びあがる力が強くなる子は良いけど・・
今時の子は・・昔の子より・・その力が弱い気がするわ。

2010年11月21日(日) 11時03分 | URL | 編集

けい #JalddpaA

こんばんは!

この監督さんも 生徒達も芯がしっかりしているのでしょうね。勿論プライドも。

思ってはいても 流されやすい方のほうが多いでしょうし
私も どうなのかなぁ?
子供に関わる事なら 私も同じ立場ならそうしたかもしれませんが・・・
自分の事なら ひいてしまうかもしれません。
もっと毅然と!何時でも自分を見失わない・・・
言い聞かせなくては !自分に。。。

良い講演会でしたね。機会があれば私も拝聴したいです。

2010年11月21日(日) 19時14分 | URL | 編集

空飛ぶミケ猫 #-

ありがとうございました。

とってもすてきなお話、ありがとうございました。
悔しい思いをしてクサる人もいっぱいいることでしょう。
でも、いるかさんが書かれているように、彼らはクサるのではなく、その悔しさをバネに変えた。

人生、こうありたいですね。
ホント、いいお話を聞かせていただいて感謝します。

それにしても、よく聞き取るだけでなく、こうやって文章で再現できる…というのはすごい。
いるかさんはすごいなぁと思いました。

2010年11月21日(日) 20時12分 | URL | 編集

みやママ #-

講演会のお話 いいお話ですね。私は高校でテニスをしていたんですが その時の顧問の先生は実力主義でうまい選手が4人いたら団体戦も戦えるからと その他の私たちはほったらかしで時にはバカにもされました。悔しくて一生懸命 みんなで練習しました。あの頃の事を少し思い出しました(^O^) テニスはそこそこだったけど 忍耐力はあの時 ついたのかな。その頃、雑誌で中島みゆきさんが「ナイフでついた傷は治るけど、言葉でついた傷は一生消えない」って言っていて 切り抜いて下敷きに挟んだりしてました。でも一生 傷つかずにはいかないですよね。人に対して強くなくても 生きる事には強くなって欲しいです。

2010年11月21日(日) 22時55分 | URL | 編集

茶目太 #-

 口のきき方は大切です。いつも想像力を持って自分がこう言われたら嫌だろうなということは言わないようにしたいですね。

2010年11月21日(日) 23時14分 | URL | 編集

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2010年11月22日(月) 11時57分 | | 編集

海のいるか #-

★yuyuhayaさん

そうですね。生徒さんもみんな、なんていうか土台がしっかりしていたのでしょうね。
監督の背中を見ていたということもあるのでしょうね。
そんなふうに育てていきたいなと思いました。

本当に。人って何か事が起きた時に本当の姿が見えますよね。冷たいのも人間。温かいのも人間。
誠意はもっていたいと思いますよね。

2010年11月22日(月) 19時21分 | URL | 編集

海のいるか #-

★ピオーネ親父さん

そうですね。本気の相手には本気でぶつかる、
それが誠意であり、礼儀ですね。
忘れないでいようと思います。

2010年11月22日(月) 19時25分 | URL | 編集

海のいるか #-

★関西人ママさん

いろいろあった時なんですよね、人が大きくなるのは。
つらいこと、苦しいこと、いろいろあっても希望を持ち続けることだと思います。

人の冷たさに絶望するときがあっても、救ってくれるのもまた人なんですよね。
私はやっぱり人間て素敵だって思いたいな(*^_^*)

2010年11月22日(月) 19時30分 | URL | 編集

海のいるか #-

★mimiさん

そうですね、その子によるね・・・。
それは子供に限らずだけど。
なんていうか、強く生きてほしいよね。芯の部分が。
そんなふうに育てたいな。

2010年11月22日(月) 19時37分 | URL | 編集

海のいるか #-

★けいさん

そうですね、一晩かけて行った先で突っぱねて帰ってくるのは中々出来ない気がします。
でもこういう姿勢が大事なんでしょうね。
すでに心は一流だったのだと思います。
プライドを持てる自分になりたいです。

2010年11月22日(月) 19時47分 | URL | 編集

海のいるか #-

★空飛ぶミケ猫さん

いろんな事があっても、それをバネに代えていきたいですよね。
人が大きく成長するのはそういう時なんだと思います。

お話が印象的だったからだと思います。
忘れないうちに早く書かなきゃって思いました(^^;)
ありがとうございます!

2010年11月22日(月) 19時51分 | URL | 編集

海のいるか #-

★みやママさん

高校生の頃っていろんなドラマがありますよね。
私はソフト部だったんですが、弱小チームだったのに
監督が『日本一に!!』なんて言うから逆に白けた(苦笑)
でもね、すごくのめり込んで寝ても覚めてもソフトボールだったんですよ、その時期は。
何かに打ち込む。そこから学ぶことはいろいろありますね。
そうですね、強く生きてほしいです!!

2010年11月22日(月) 19時55分 | URL | 編集

海のいるか #-

★茶目太さん

そうですね。私の場合、親しくなると
調子にのってしまうところがあるので気をつけなくちゃ。
親しみを込めた冗談のつもりが
相手を傷つけてしまったことがあるから。

2010年11月22日(月) 19時59分 | URL | 編集

海のいるか #-

★鍵コメさん

了解しました~。
これから伺います(^_-)-☆

2010年11月22日(月) 20時00分 | URL | 編集


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